2月11日・12日、二日間にわたり、令和4年度「事故防止講習会」を開催いたしました。
2月10日の長野県の大雪により、講師のフライトスケジュールに変更があり、
急遽講演内容が中止および変更になり、ご参加予定の皆様に多大なるご迷惑をおかけたことを深くお詫び申し上げます。
2月11日(北海道の山岳遭難事例)・・・ 林中 健浩 氏
北海道警察山岳遭難救助隊員の林中さんより、本年度の山岳遭難救助事例についてご講演いただきました。
大雪山系で実際に発生した様々な遭難事例には、スライドだけ見ても相当な悪天候だと思われる救助現場の写真が何枚もありました。
遭難者を救うために、労をいとわず尽くしてくださった救助関係者の方々に頭が下がります。
事例には当日の参考情報(気象・場所など)も記載されており
大雪山系でよく発生する遭難について学ぶことができました。
林中さんは事例だけではなく、遭難された時の対応についても、わかりやすく説明してくださいました。
かぶるだけで外気を遮断できるシェルターや、低体温症を防ぐための保温・加温装備や有効な装着方法なども見せていただきました。
自分の命を守るために、山では決して無理な行動はしてはいけないと学ぶ貴重な一日でした。
林中さん、お忙しいところ、大変貴重なお話いただき誠にありがとうございました。
2月12日(山岳気象の基礎)・・・ 猪熊 隆之 氏
2日目は山岳気象予報士のパイオニア、猪熊さんより山岳気象について貴重なご講演をいただきました。
山の天気は崩れやすく、平地とは異なる天気の特徴があると漠然と思う方や、
平地や山麓の天気予報だけを確認して山に登る方も多いのではないでしょうか。
天気図の見方や、気象に関する記号の読み方などがハードルとなり、登山に一番重要な情報を逃してはいませんか?
テレビやネットで見られる天気予報は平地や山麓のものが多いので、注意が必要なところです。
猪熊さんは山岳気象の基礎、空から見える前兆、気象遭難を防ぐ方法など、
気象の知識が全くない方にも、わかりやすく説明してくださいました。
簡単な図解から気象知識を学び、天気図の見方まで、大変勉強になりました。
休憩後の第2部では、第1部で学んだ知識を大雪山系に適用して、大雪山国立公園のジオラマを見ながら
地形により雲が発達しやすいところや、強風が予想される地形など教えていただきました。
自分自身も大雪山系でよく歩く登山ルートの気象について学ぶことができる貴重な機会でした。
大雪山国立公園は管理人が常駐している避難小屋が少なく、長距離の登山道も多いので、
登山中に天気が急変した場合は、遭難事故につながる可能性が高いです。
大雪山系で山岳天気は死活問題といっても過言ではありません。
山の天気がわかればリスクが軽減できて、気象による山岳事故の防止に繋がり
今よりも、もっと山を楽しむ事ができます!
今日からはぜひ山岳気象情報に耳を傾けてみましょう。