8月23日(土)に、大雪山・旭岳の自然を考えるワークショップを開催しました。
テーマは、「ヒグマを正しく恐れて、理解する」です。
講師には、旭山動物園の大内章広氏と、知床財団の秋葉圭太氏をお迎えしました。
大内氏は、エゾヒグマ館の担当経験があり、
秋葉氏は、野生動物の保護管理や調査などに携わっておられます。
第一部では、「ヒグマに関する普及啓発 ~動物園の役割とは~」と題し、
大内氏より、動物園の役割や、旭山動物園でのヒグマの暮らしから見えてくる生態について、
お話しいただきました。
動物園は、野性下と異なり24時間の観察が可能であることから、調査や研究に貢献するとともに、
来園者がヒグマに対して興味・関心を持ち、
ヒグマをはじめとする野生動物や自然との関わりを学ぶ場としての役割も担っているそうです。
また、誤ったイメージを持たれがちな生態や行動・習性についても、
動物園での飼育ならではの映像を交えて解説していただき、
ヒグマという動物を正しく理解することができました。
第二部では、「観光と野生動物 ~知床国立公園の現場から~」と題し、
秋葉氏より、知床財団が発表した「2025年羅臼岳登山道におけるヒグマ人身事故に関する調査速報」や
知床での調査結果をもとに、ヒグマと共生するために必要な知識や考え方についてお話しいただきました。
知床をはじめ北海道は、ヒグマの生息地とヒトの生活圏が隣り合っている場所であること、
それによるヒトとヒグマの軋轢と問題について考えるきっかけとなりました。
事前の情報収集や周囲の観察、こちらの存在を知らせるなど、
ヒグマに出会わないための行動がまず重要であること、
ヒトの行動によってヒグマを変えてしまわないようにすること、
道具があることに慢心せず、ヒグマに合わせて行動を見直す大切さを学びました。
講演会の合間には、講師のお二人がご持参くださった、
ヒグマとエゾシカの頭蓋骨を見比べたり、
毛皮や爪、糞を見ながら、熱心に解説を聞く参加者の姿もありました。
ご参加いただいた皆様、ご登壇いただいた大内さま、秋葉さま
誠にありがとうございました。